光学設計ノーツ8:エッジの結像とその画像処理と光学設計について
1. はじめに、物体の位置
一般的なマシンビジョンにおいて、あるいはデジタル画像のエッジの補正において、
物点とこれに対応する点像の位置の対応が正確に認知出来ることは重要なことであり、意外と困難が付きまとう。単純な点像の位置ズレである歪曲収差の影響を除いたとしても、収差により、ある程度の大きさの広がりを持ってしまう点像のどこが、正しい結像の位置を示しているのかを知る事は、簡単なことではない。例えば極小さな点光源の動きを観察する場合、その位置を正確に知るに際し、PSFの範囲内で誤差が起こりえる。光学設計時の主光線到着位置とは測定上は便宜的なものであるし、非対称性収差が発生した場合には照度の重心位置が必ずしも基準となり得る訳ではない。下記のエッジ強調処理の場合にも、エッジを画像処理的に立てても、その位置が、傾斜したエッジ像部分のどこにあるべきなのかの判断には難しいものがある。
そこで、単純な対処法ではあるが、軸外においてメリディオナル方向に対称性を維持したコマ収差の少ない光学系を用いる事が妥当である(アイソプラナティックである必要は無い)。本来、光束を非常に絞った場合に結像位置を与える近軸主光線到着位置と、PSFの照度重心が一致するからであり、その位置は画像から検出可能である。画像の2値価に際して閾値の変化による重心移動も当然少なくなる。
2. エッジの強調
非光学的ではあるが、デジタルカメラ等の画像処理においては明暗部のエッジを検出して、エッジの急峻度を増すような処理が行なわれる。これは画像のメリハリを向上させる効果を持つ。当然エッジスプレッドファンクションは立ち上がるわけであるから、部分的にMTFは無理に向上させられることになる。
さて、高さ1のエッジを表わすエッジ関数と、エッジに水平な方向の線状の被写体の光学系による結像の強度分布、LSF(ラインスプレッドファンクション)関数L(x)のコンボリューション積分によりエッジ像分布は得られるはずである。
ここでは上記面積Eを得るための計算の都合上、エッジを表わす関数として、sgn(x)関数(シグナム関数)を用いる。この場合この関数は、xが正のとき+1を、負のとき-1を採る関数であり、x=0のとき不連続となりエッジを形成する。コンボリューション積分を*で表現すれば、sgn(x)をエッジ関数n(x)としてエッジ像を表す関数P(x)は・・・・・