光学設計ノーツ 26(ver.1.0)
OTF 計算における振動、位相とび等について考える
ここではより具体的に、OTF の計算過程において一旦0になり、またレスポンス
が現われたりする MTF の振動、そして(PTF の)位相飛び、偽解像等の通常レン
ズ設計時にはあまり問題視されないが、しかしちょっと気になる現象について解
説させて戴きたい。
1. MTF、PTF 計算の復習
本連載前回に正弦波像の結像の表現に記し今回に
理的に所と所で要点を新た整理し復習す導出の詳細は前回
参照願い光学系の点像強度分布(以下 PSF I(x)時、

iii dxxIsxC
2cos
(25-5)

iii dxxIsxS
2sin
と置くことによれば、(25-5)式より正弦波チ像を表す畳み込み積分式
 
iii dxxIxxsmaxP
2cos (25-2)
以下の関数で表現で

sx
C
S
sxmCaxP
2sin2cos
段階で変換と概念は持ち込ん正弦波の周波数を
平均的バ明る
a
正弦波格子の最大振幅を
m
としている。さらに
C
S
tan C
S
1
tan
(2)
と置いて、(1)式

sxSCmaxP 2cos
22 (25-7)
と成ることが分かった。つまり、(25-5)で表される C,S が得られれば正弦波結像の状態は
分か事に元の正弦波物体の表現は

sxmaxO
2cos (25-1)
正弦波物体と像の最大振幅比は 22 SC MTF位相差は
PTF直接表さ事が(25-5)式における二つの関はオイラーの公より
iii sxisxisx
2sin2cos2exp
(25-6)
考え複素座標空間上の関数の積分の実数部、虚数部と表現す
出来るMTF 複素空間に積分結果の複素数の大きPTF 方位

1
ii dxxI 3
正規化し OTF 定義( 24 9 式)一次元で考え

iii dxisxxIsOTF
2exp
 
iiii dxsxisxxI }2sin2cos{
iSC (4)
であり、さらに
 
iSCsOTF exp
22 (5)
或い

siPTFsMTFsOTF exp
(6)
表現で
2. MTF 計算結果における振動について
PSF 中心を像面座標の原点と於い考え(2)式よ S=0 時の
PTF π整数倍とSin 奇関数でI(x)遇関数で
積分は必ず(2)式よ PTF 値は 0 整数π観測す断面内に
線対称的な PSF 対し位相、PTF π整数倍の不連続な値し持た
( 1)非対称な PSF 時の S 値を持ち PTF 他の中間の連続的値を採り
る。
簡潔の対称形の PSF 考えS 成分は無視で訳で C
についてのみの OTF、MTF の影について考えれば良い事になる。また、PSF をさらに簡
便の 2 様な矩形関数と置け任意の周波数を持つ正弦波に対応す C
2 様な関数の積関数の積分と
3 種類の PSF 描か(3)式の通り面積は 1 PSF
正弦波と積の関数は積分に際し中央部分だ残る事に確か値を
持つ一般的に有効な MTF計算値の基と成る PSF 範囲が可也広が
場合の所謂ボ場合のPSF考え図の通り PSF2 正弦波の 1 周期分と
等し幅を持つ2 関数の積の積分は確か物体構造の細か
PSF大き比べ直感的に解像す難し言う事が感じ
更に極端に広が PSF3 考え正弦波周期の整数倍の長さ差の分、
A+A範囲に C 値を持つ分か勿論、分だ PSF
方向の値は小さ微小な寄与しC MTF 等に齎す
MTF 計算に一旦値が成り高周波の領域で値が復活し
振動し減衰し様な理屈に(図-3)式に
注目す被写体構造に比べ大き持つ齎さ値が
微々再生像の最大振幅、何ら影響を与え事は明ら
かである。
3. 所謂、偽解像と呼ばれる現象
さてここで、図 4 にある様 PSF4 を考える。
PSF 上述の通り C=0 PSF2
更に若干ボ広が明ら積分領域は正弦波振幅の負の領域に
しており、S は0であるから、(4)式より OTF(s)は実の負の値をとる。この OTF は(5),(6)式
等価に表現で訳でMTF 常に正でexp(
)は-1 と成らねばな
らない。つまりφ=
π(
奇数)
0exp
2
iCOTF
ただし
0
0
tan C
である。
結局、高周波数に成る連れ PSF2 cos(2πs)関係が実現さ
MTF PSF4 様に再び C 値を持ち始め位相がπ奇数
倍だ飛ん事に再現さ正弦波像の初期位相が実質π事に
本来な正弦波像の明る場所と暗く場所が半波長ず事に
入れ替わ事を意味す明暗が反転し偽解像”呼ぶ
場合も正弦波像の位相が後述の様に
元に戻る大げ呼び名で感は否め
PSF3C=OTF
位相がπ場合は 2
π明暗は元に戻る
4. 非対称性収差と PTF
簡単に考え対称型の PSF 考え一般的な共軸光学系に
PSF点像強度分布は方向に非対称性を持っ
対称性が大き PTF 無視で大きπ整数倍以外の連続
的な値と時に点像強度分布の対称性が大き損な
明ら 3 次収差論的に表現す大き収差、倍率の色収差な
存在よ場合が考え PTF点像強度分布の非対称性、単波長、或い
色収差が良好に補正さ場合に特に収差の程度を表わ指標と考え事も
出来る
非対称性の顕著さ対象と正弦波の周波数に変化す事は当然で
遥か大き周波数領域で非対称性(細か非対称性)全体で積分
寄与し相対的に低周波数領域に非対称性が重要な
相対的に正弦波物体の周波数が高い領域に PTF 顕著な値を
ちやすい。
PTF 画像へ影響は詳し参考文献4触れ本連載に
取り上げ予定で
5. 参考文献
小瀬輝次:結像論(共立出版社、東京、1979)
草川 徹:設計者の波面光学(東海大学出版、東京、1976)
早水良定:光機器の光学(日本オ協会,1995)
牛山善太、草川徹:光学(東海大学出版会、東京、2003)