光学設計ノーツ 66 (ver.1.1)
体積ホログラムの回折効率を考える 3
前回に引き続き厚さのある体積ホログラム(thick hologram)の回折効率(diffraction
efficiency)を考察すべく、H.Kogelnik参考文献[2]の結合モード理論coupled- mode theory
(或いは結合波理論(coupled-wave theory)について解説させていただきたい。
なお、これも前回に引き続き本項においては参考文献[1]の解説が記されている参考文
[4][5][6][7]を主に参照させて戴いている。
1. 結合モード理論・吸収率、光波の進行い方向について
前回述べたようにホログラムは十分に厚いと仮定し、存在するのは
k
1方向に進む再生
のための再生波、そして Bragg 条件と整合する回折次数を持った波動(回折波)の二つであ
ると考える。
これを以下の様に最大振幅と波数ベクトルを書き換えて表現する(本連載 64 回(10)式)。

rizSrizRrE
expexp
10
この時,回折波の波数は以下の様に表される(本連載64回(12)式)。
K
12
さて、ここで-1 にある様に諸元を考え、成分ごとに記せば、
sinB
x
A
cosB
z
B
sinsin KB
x
1C
coscos KB
z
D
また、図-1 より、角度θBを考えると、

2
B
である。Bragg 条件が成立すれば、
2
sin B
である。ここで、(2)式から、
B
2
B
2
cos)cos(
B
sin
よって、(3)式より
2
)cos(
となる。さらに
0
2n
KK
であるので、(5)式は、
0
4
)cos( n
K
と出来る。
10)式のベクトルの絶対値を求めると、(1)Aから D式により、
2222 cossin BB
B
また、
2
2
2
22
2sinsinsin
2
sin B
K
B
K
B
2
2
2
2coscoscos
2
cos B
K
B
K
である。ここで、
sinsincoscos)cos(
であって、(7)式より
sinsin
4
coscos
0
n
K
sinsin
2 B
K
従って、(9)式は、
2
2
2
22
2sinsinsin
2
sin B
K
B
K
B
2
2
2
2cossinsin
2
2
cos B
K
B
K
B
K
(10)
従って、
B
となる。
2. 参考文献
[1] Kogelnik, Bell Sys.Tech. J., 48, 2909 (1969).
[2] A.Yariv:光エレクトロニクス展開編/多田邦夫、
神谷武志監訳(丸善、東京、2002, p.676.
[3] M.Born & E.Wolf :Principles of Optics,6th edition(Pergamon Press, Oxford, 1993)
/草川徹、横田英嗣訳:光学の原理(東海大学出版会,1977).
[4] J.W.Goodman: Introduction to Fourier Optics 2nd.edi.
(McGraw-Hill, NewYork, 1996), p.336
[5] J.W.Goodmanフーリエ光学 / 尾崎義治、朝倉利光 (森北出版、東京、2012p.326.
[6] 辻内順平:ホログラフィー(裳華房、東京、1997, p.56.
[7] P.Hariharan: Optical Holography Principles, techniques and applications, 2nd.edi.
(Cambridge University Press, Cambridge, 1996), p.48.
[8] 辻内順平:光学概論Ⅰ(朝倉書店、東京、1979.
[9] 牛山善太:波動光学エンジニアリングの基礎(オプトロニクス、東京、2005.