光学設計ノーツ 67 (ver.1.0)
体積ホログラムの回折効率を考える 4
引き続いて厚さのある体積ホログラム(thick hologram) の回折効率(diffraction
efficiency)を考察すべく、H.Kogelnik参考文献[1]の結合モード理論coupled- mode theory
(或いは結合波理論(coupled-wave theory)について解説させていただきたい。
なお、こまでと同様に本項においても参考文献[1]及び、その解説が記されている参考
文献[4][5][6][7]を主に参照させて戴いている。
1. ブラッグの条件
前回では(11)式において二つの光波の位相波数ベクトルの間にある、
B
66-11)
の関係が得られた。よって、(64-12)式
K
12
からも図1の様な状態が考えられる。ブラッグの条件が成立せねば(66-11)式も成立しな
い。ブラッグの条件を満たす入射角と波長をθ0λ0として、そこからの小さいずれを考え、
0
1
0
と表わす。そこで、ブラッグの条件を表す、前回の(7)式、
0
4
)cos( n
K
66-7)
を微分して、
d
d
d
K
d
n
)cos(4 0
ブラッグ条件を満たすθ0、λ0を用いて
Kn )sin(4 00
と、出来る。ここで、本連載 65 回(9)式、
BirKBBk 2cos4
22
65-9
rKirKiBBiBk
expexp22
22
3
とおいて、本連載64回(18)式、
0
22 EkE
(6418)
に代入し、さらに、光波の表現式、

rizSrizRrE
expexp
10
そして(64-12)式の関係を用いて計算すると、( )’’( )’ がそれぞれz方向の 2次微分、1次微分を
表しているとして、





c.c.exp
2
1
exp
2
1
2
riiRriRE z




riiRriR z
exp
2
1
exp
2
1




c.c.exp
2
1
exp
2
12
riiRriR




riiSriS z
exp
2
1
exp
2
1





c.c.exp
2
1
exp
2
12
riiSriS



c.c.exp2
2
12
riRiRR z



.c.cexp2
2
12
riSiSS z
(4)
となる。
ところで、上式における c.c.は複素共役 ( complex conjugate ) を表す項であり、
を複素数とすれば、
zz Re2.c.c
である。
話を戻せば、また、
rKirKiBBiBEk
expexp22
22

riSriR
expexp

riSBiBriRBiB
exp2exp2 22


riSriRririB
expexpexpexp2

riSBiSBriRBiRB
exp2exp2 22


riSriSriRriRB
exp2expexp2exp2
ここで、二つの exp の項が自由に変わり、その場合にも(64-18)式が成立するためには、それ
ぞれの係数について以下の関係が成立する必要があって、この時、
-
の波動はより高次の波動と同様に無視するとして(64-12)式参照のこと)[1]
0222 2
2
BSRBiRBRiRR z
(6)
0222 2
2
BRSBiSBSiSS z
(7)
ここで、(6)式においては
2
2B
とおけて、
0222
BSRBiiRR z
8
ところが、Bragg 条件を満たしていない状況を考えれば、(66-11)式は成立せず、(7)式については
そのまま
0222 2
2
BRSBiSBiSS z
9
なる関係が得られる。
2. 参考文献
[1] Kogelnik, Bell Sys.Tech. J., 48, 2909 (1969).
[2] A.Yariv:光エレクトロニクス展開編/多田邦夫、
神谷武志監訳(丸善、東京、2002, p.676.
[3] M.Born & E.Wolf :Principles of Optics,6th edition(Pergamon Press, Oxford,1993)
/草川徹、横田英嗣訳:光学の原理(東海大学出版会、1977.
[4] J.W.Goodman: Introduction to Fourier Optics 2nd.edi. (McGraw-Hill, NewYork, 1996), p.336
[5] J.W.Goodmanフーリエ光学 / 尾崎義治、朝倉利光 訳(森北出版、東京、2012, p.326.
[6] 辻内順平:ホログラフィー(裳華房、東京、1997, p.56.
[7] P.Hariharan: Optical Holography Principles, techniques and applications,2nd.edi.
(Cambridge University Press, Cambridge, 1996), p.48.
[8] 辻内順平:光学概論Ⅰ(朝倉書店、東京、1979.
[9] 牛山善太:波動光学エンジニアリングの基礎(オプトロニクス、東京、2005.