光学設計ノーツ 80
多数の波動による干渉、波動の合成の考え方
前回に引きいて干渉についてえさせていただきたい特に多数の光波が重なり合
い、干渉する場合の定式化について整理・説明させていただく。
1 多くの光波による干渉の式
ここで、多くの光波による干渉について再び考えてみると、本連載 79 回では多数
m
個)の光波の合成の場合には干渉による強度
I
は以下の様に表現することが可能であ
った。(εについては本連載前回 79 回の(16)式をご参照願いたい。
=
cos
(1)
=
sin
(2)
とした場合、
=
+
(3)
と強度
I
が表わされる。2成分に分けて考えれば
=
cos
+
,
cos
cos
(4)
(79-15)
=
sin
+
,
sin
sin
(5)
である。ここにΣ’は
j
k
の場合を除くことを意味している。
因みに m2の2光波の場合を考えてみると、
=
cos
+
cos
=
1
2
cos
2
1
+
2
2
cos
2
2
+ 2
1
cos
1
2
cos
2
(6)
=
sin
+
sin
=
1
2
sin
2
1
+
2
2
sin
2
2
+ 2
1
sin
1
2
sin
2
(7)
となり、それぞれ(4)(5)式の結果と一致する。
また、強度を考えると、
+
=
+
+ 2
cos
cos
+ sin
sin
=
+
+ 2
cos
(8)
となり、ω1=ω2とした場合の本連載 79 (6)式からの
(
)
1221
2
2
2
1
cos2
ϕϕ
++= AAAAI
(79-10)
と同じ形になる。
2. 干渉の元々の表現
元々、合成された振幅
u
は正弦波の合成として以下の様に表現できた。
=
=
sin +
+
(9)
=
{sin +
cos
+ cos +
sin
}
cos
sin +
+
sin
cos +
(10)
ここで(1)(2)式にある様に
=
cos
= cos (1)
=
sin
= sin (2)
と新たな時間変化に対して一定な、波動を便宜的に考えた場合(ここでの新たな波動式の ch
直感的イメージは掴みにくい。しかし、それぞれの単独波動の振幅と位相のみにより、合成
されて決まる、新たな波動が表されていることには違いないので(1’(2’)の様に表現
可能である。また、そこから Aεが得れることに大きな意味がる。波動の合成を考える場
合には重要な考え方である。
= cos sin +
+ sincos +
(11)
或いは
= sin +
+ cos +
(12)
である。これら基本波動に時間、初期位相による係数が乗じられて、折々の振幅が決まる。
その(11)式より、三角関数の性質から
u
の最大値は Aである。よって時間に対して不
変な、ここで考えている干渉による最大振幅は(1’(2’式における Aによって表され
ることになる。従って、時間に依存しない構造における最大強度は、
+
= cos
+ sin
=
(12)
と、(3)式の通りである。本連載前回 79 回の(15)式、以下(79-15)式と表そう、もこの考
え方の上に成立している。
また、この時の位相εは、以下の関数から求められる。
tan =
%%
sin
%
%%
cos
%
(13)
さてここで、(79-15)式をさらに整理して行くと、
+
=
cos
+
,
cos
cos
+
sin
+
,
sin
sin
(14)
右辺、第1、3項はまとめて
cos
+
sin
=
cos
+ sin
(15)
と、出来るので
+
=
+
,
cos
cos
+
,
sin
sin
(Σ’は
j
k
の場合を除くことを意味している。)
=
+ 2 
cos
cos
&
'
+
sin
sin
=
+ 2
cos
cos
&
'
+ sin
sin
=
+ 2
cos
&
'
(15)
と表せる。
3. 参考文献
1)久保田広:”応用光学”1989、岩波書店、東京),p75
2)牛山善太:波動光学エンジニアリングの基礎(オプトロニクス、東京、2005
3)E.Hecht:Optics 5th.edi.(Pearson,Harlow,2017),p291-293