光学設計ノーツ 82 ver.1.0
多数の波動による干渉、波動の合成の考え方 2
本連載前々回 80 回において波動の合成について触れさせていただいたが、そこで多数の
正弦波を合成することにつて扱った。そのありで少し説明不足のところもあた様
思えるので、今回、少し話は戻るのであるが補足させていただきたい。
1. 多くの正弦波の合成
元々、合成された振幅
u
は正弦波の合成として以下の様に(80 回(10)式)表現できた。




(80-10)
ここで

 (1)

 (2)
と新たな時間変化に対して一定な、波動を便宜的に考えた。同一の周波数の正弦波を幾つも
考えた場合には、それらが合算された場合に、その結果も正弦波になるということである。
光波の干渉を考える場合に主に周波数は一定する。であるからここのところ根本
なところなので、一応、説明を捕捉させて頂く。
12式における多数の光波の位相成分εmを、特定の場所における三角関数の位相
角度をθ、つまり xを位置として、
θ= 
それぞれの光波で値が変化し得る初期位相をφとして、


(3)
と置く。
ここで、先ず 2光波の合成を考えて、波長は同一として以下の式を考えることにする。
 
(4)
  
 
更に
  
(5)
と置けば、
  (6)
と表せる。
さてここで図 1にある様に、直角を挟んで abの辺、角度 αβを持つ直角三角形を考
える。すると
1 a、b と角度αの関係

!
"#
$
%!
$
(7)
a
b
α

&

(8)
であり、これらの式をそれぞれ baについて解き、6)式に代入すれば
 &
  
 &
 (9)
と出来(三角関数の合成公式 4)、2正弦波の合成は、波長の関数θと初期位相αで表現さ
れる、正弦波になることが分かる。ここで図 1にある通り、
'()
*+
,
(10)
である。
2光波の合成を、積み重ねていけば多くの正弦波の合成も同様に考えられるので、その場
合も合成された結果は正弦波となる。図 2に幾つかのランダムな初期位相を持つ、同じ周
波数の正弦波の合成を計算した例を示す。
2 正弦波の合成結果 (上)2 正弦波の合成 (下)6 正弦波の合成
それぞれ最大の振幅の正弦波が合成されたもの。横軸は位相角度(度)
また、更に多数の、振幅(0から 1の間に)と初期位相(-180 度から 180 度)をランダ
ムに発生させた正弦波1,000,000 個)を加え合わせた結果を示す。個々の要素正弦波の最
大振幅の 2乗和は 333399 であった。
3 多数の正弦波の合成結果の正弦波 ここでも横軸は位相角度(度)
2. 参考文献
) 久保田広:応用光学、1989、岩波書店、東京),p75
) 牛山善太:波動光学エンジニアリングの基礎(オプトロニクス、東京、2005
) E.Hecht:Optics 5th.edi.(Pearson,Harlow,2017),p291-293
) 岩瀬重雄:高校数学公式活用辞典(旺文社、東京、1994,p.182